【山廃仕込】について② 微生物との共存
2020/7/11
こんにちは、杜氏の雄二郎です。
昨日に引き継ぎ、【山廃仕込】について②ということで、今日は山廃仕込の裏側を書いてみます!
といっても文字で書くのもアレなんで、簡単に手書きしました。笑
大学生時代の教科書を引っ張ってきて、久々に書きました、この図。
見づらいかもしれませんが、*山廃酒母のタンクの中ではこんな事が起きています。
*酛(もと)とも言って、文字通り、山廃のお酒のモトになるもの) 分かりづらいですね。笑 イメージとしては、カルピスの原液を思い浮かべると近いかもしれません。
話はそれましたが、まずは
①硝酸還元菌という菌が、亜硝酸という成分を作って酒母にいる雑菌を大まかに殺菌します。
ちなみにこちら硝酸還元菌は主に井戸水に生息するので、水道水とかだと【山廃仕込】でお酒を造るのは難しかったりします。
そしてある程度雑菌が減ってきたらいよいよ乳酸菌の登場です!
しかも2種類(笑)
②まずは(球菌)乳酸菌 でして、学名だとLeuconostock (ロイコノストック)と呼ばれるタイプです。これが増えて、乳酸を作ると前の硝酸還元菌は逆に殺菌されます。
③そして次は(桿菌)乳酸菌。こちらはLactobachillus (ラクトバチルス)というタイプで、これは聞いたことある方もいるのではないでしょうか?
ラクトバチルスが増えると、そう、先程の(球菌)ロイコノストックが殺菌されるという流れ!
もう一度図に戻りまして、①②③による亜硝酸と乳酸が出来た相乗作用により、山廃酒母のタンクの中は、(桿菌)乳酸菌であるラクトバチルス以外はほぼ無菌状態となります。
そして、最後にエース登場。
【清酒酵母】という微生物が発酵してアルコールを造ることにより乳酸菌も殺菌。
タンクの中には純粋な清酒酵母だけになり、私たちの大好きな日本酒造りが始まる訳です。
まだお酒になるまでは途中ですが、ここまでにかかる日数は約30日。
そんな感じで山廃仕込のお酒は出来ていきます。
山廃仕込の簡単なメカニズムはここまで。
オススメの日本酒
(担当)杜氏
福井の日本酒蔵
山廃蔵【福千歳】田嶋酒造株式会社